当社では、これまで多くの企業・団体・個人事業主様のWebサイト・業務システムを制作してまいりました。 しかし、当社ホームページ上では「制作実績の概要」は掲載しているものの、具体的なWebサイトのリンクや企業名を明記していません。
本記事では、その理由と背景について、セキュリティ・倫理・競争環境の観点から詳しくご説明します。
1. 公開することで「費用感」が推測されるリスク
Webサイトの制作費用は、見た目だけでは判断できません。 しかし、同一地域・同一業種の制作会社が公開しているサイトをたどると、「どの制作会社が作ったか」から概算費用を推測できるケースがあります。
- 「このデザインでこの会社が作っているなら、この程度の価格帯だろう」
- 「同じ制作会社に頼めば、同程度の金額で作れるのでは」
こうした誤解や値下げ交渉を避けるためにも、当社ではクライアント様の制作コストに関わる情報を第三者に推測されないよう配慮しています。 制作物は、依頼主のブランド戦略や投資計画の一部です。それを外部に露出させることは、依頼主の利益を損なう可能性があります。
2. 競合企業による「戦略的リサーチ」への悪用リスク
ライバル企業が同業他社のWebサイトを調べ、その制作会社を特定して同じ会社に依頼するケースが現実にあります。 その理由は単純で、
「競合他社のホームページを作った制作会社なら、同じ業種で有利なSEO構造を知っている」
という発想からです。
しかしこれは、SEOやマーケティング上の不公平な競合分析につながりかねません。 また、同じ制作会社が複数のライバル企業を担当することで、 意図せず情報やノウハウの“交差”が発生するリスクもあります。
当社ではクライアントごとに戦略を完全分離し、守秘義務の観点からも制作元が第三者に特定されることを避けています。 成果の背後にあるノウハウを守るため、リンク公開は行っていません。
悪質な制作会社では、より高額な費用をかけたホームページにより有利なSEOを設定したり、 高額なホームページより順位を上げないように工夫し、上位に上げるには追加費用を請求することもあるようです。
3. セキュリティ上の懸念:制作元の特定が攻撃経路になり得る
もうひとつの重要な理由が、セキュリティリスクです。 特にWordPressなどのCMSを利用しているサイトでは、制作元が同じであれば構成やプラグインが似通っていることが多く、 ひとつの脆弱性を突かれると複数のクライアントサイトに連鎖的な攻撃が及ぶ危険性があります。
攻撃者は「制作会社名」や「HTMLの構造パターン」などから共通点を特定し、 特定の業者が管理しているサイト群を対象にしたスクリプト攻撃を行うことがあります。 実際に、WordPressや同系CMSを利用するサイトでは、こうした横断的な攻撃が増えています。
当社はこのリスクを考慮し、基本的に静的HTML構成を採用しています。 さらに、サーバー構成や管理体制も案件ごとに分離し、他サイトとの連携リスクを最小化しています。 しかし、そうした防御設計を行っていても、制作元が特定される情報を公開すること自体が潜在的なリスク要因になり得ます。
Aサイトを静的サイトとして公開していたとしても、同一サーバでBサイトでWordPressのようなCMSを利用していれば、 Bサイトのバグを利用することでAサイトにも同時に攻撃することが可能となります。
4. クライアント様のブランドを守るため
多くの企業・店舗にとって、ホームページは「会社の顔」であり「信用の一部」です。 その裏にどんな制作会社が関わっているかという情報は、本来、一般に公開する必要のない機密情報です。
たとえば:
- サイトリニューアルの背景(経営再編やブランド刷新)が外部に漏れる
- 製作中に扱った機密情報や社内資料への推測を招く
- 公開後の改善フェーズが知られてしまう
こうしたことを避けるため、当社ではクライアントの匿名性を守る方針を取っています。 制作実績の紹介は「業種・目的・課題・成果」などの概要にとどめ、特定可能なリンクや企業名は掲載しません。
また、あってはいけないことですが、もし当社が社会的に不適切な行動を行った結果、制作事例からその先の業者に批判の矛先が向くことなどあってはならないことです。 現在のテレビなどでは放送内容が不適切だと批判されるようなことがあれば、スポンサーにまで業務妨害の矛先が向くこともあるようです。
もちろん企業名の公開や直リンクがないからと言って、当社はそのような不適切な行為を行うつもりはありませんが、リスクを少しでも下げるため、非公開としております。
5. 「実績を公開している制作会社」との違い
一部の制作会社では、堂々と実績リンクを掲載している場合もあります。 それ自体が悪いわけではありません。 しかし、そうした会社の多くは次のような特徴があります。
- 自社ホスティング環境ではなく、クライアントが独自に管理している
- 公開サイトの権限を保持していない(よってセキュリティ責任が限定的)
- 実績公開に同意した一部クライアントのみ掲載している
つまり、「リンクを公開しても影響が及ばない構造」を取っているからこそ掲載できるのです。 当社は、サーバー・設計・運用まで一貫して責任を持つ立場であるため、 クライアントのサイトを第三者からの攻撃や模倣の対象にしたくありません。
6. 安全と信頼を優先するための非公開方針
制作実績を公開することで得られるメリットは確かにあります。 しかし当社は、それ以上に「お客様の安全と信頼を守ること」を最優先にしています。
- 制作物はクライアントの知的財産であり、当社の宣伝材料ではない
- 公開によって第三者が特定・模倣・攻撃できるリスクを避ける
- 守秘義務契約(NDA)を尊重し、情報保護を徹底する
これらの考えから、当社では実績リンクを原則非公開としています。
※ 門王のPR活動の一環として業務を請け負う場合には公開を行うこともあります。
7. 実績を確認したい方へ
実際の制作事例をご覧になりたい方には、個別のお問い合わせの際に、公開可能な範囲でご紹介しています。 閲覧用デモサイトや、匿名化された事例を提示する形で、制作品質や設計方針をご確認いただけます。
安心してご相談いただけるよう、クライアント様の機密と安全を守りながら、 透明性ある説明を心がけています。
まとめ
制作実績をリンク付きで公開しない理由は、「隠している」からではなく、守るべき情報があるからです。 制作会社という立場から見れば、実績公開は自社PRの有効手段ですが、 クライアントの立場から見れば、それは不要なリスクの公開でもあります。
- 制作費用や戦略情報を推測される恐れがある
- 競合企業による分析や模倣につながる
- セキュリティ攻撃の標的になるリスクが高まる
- クライアントの信頼と守秘義務を最優先にすべき
当社は、こうしたリスクを理解し、安全と信頼を最優先にする制作方針を採っています。 実績の中身や制作方針に関するご質問があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。
過去にはありがたいことに善意でお客様のWebサイトに「〇〇社(当社)にホームページを制作いただきました」のような紹介を頂いたことがありますが、 競合企業がそれを見つけ、そのお客様に「〇〇社は高い、品質も悪い、このページのここが悪い。こうした方がSEOで有利」の用に誹謗中傷を織り交ぜながら営業があったこともあるようです。
競合企業もより良いホームページにするための善意があるのかもしれませんが、SEOは当社も考えており、同様の提案をしても決めるのはお客様です。 ですので、その打合せの経過を知らない業者がいきなり「〇〇の方が良い」と営業して来た場合、それは自社の考えを重視する注意すべき業者かもしれません。